スイス「ロマンシュ語」入門

  • 2015.02.25 Wednesday
  • 04:11
評価:
河崎 靖,熊坂 亮,ヨナス ルエグ,坂口 友弥
大学書林
¥ 3,240
(2014-01)

『スイス「ロマンシュ語」入門』
河崎靖・坂口友弥・熊坂亮・Jonas Rüegg 共著
東京 大学書林 発行
ISBN978-4-475-01897-5
定価(本体3,000円+税)

今日、スイスではドイツ語、フランス語、イタリア語そしてロマンシュ語が公用語である。ロマンシュ語はスイス人口のわずかに0.5 %(2000年現在)が使用する言語であるが、1938年に国民投票によって国語として承認された。

ただ、ロマンシュ語が公用語として認められるのは、ずっと後になってのことで1996年の国会での承認を待たなければならなかった。

少数言語のロマンシュ語とは、いったいどんな言語なのか。昨年末に、『スイス「ロマンシュ語」入門』が出版された。従来、ロマンシュ語に触れる論文は少数ながらあったものの、日本語でロマンシュ語の入門書として出版されるのはこれが初めてのことだという。これを機会に、ロマンシュ語を紐解いてみてはどうだろうか。

日本人研究者3人に混ざってスイス人の若手研究者Jonas Rüeggさんが共著者として名前を連ねている。そのRüeggさんに会って話を聞いてみた。現在チューリッヒ大学修士課程に在籍し、歴史学(主専攻)と東洋美術史(副専攻)を専攻しているが、学部生の時、日本学を主専攻し1年間同志社大学に留学。

その後、在日本スイス大使館で半年間、研修を積んできた。この日本留学中に、『スイス「ロマンシュ語」入門』の執筆に参加することになり、ロマンシュ語圏の文化史を紹介する「第1章 ロマンシュ語とは 第1節 言語文化誌」の執筆を主に担当した。

どうしてRüeggさんがロマンシュ語入門書の執筆に参加することになったかを聞いてみて、大変面白いことが分かった。Rüeggさんはチューリッヒ出身で、両親と休暇でよくDisentisに行っていたそうだ。グラウビュンデン州のスルシルヴァ谷ではロマンシュ語のひとつスルシルヴァ方言が使われている。言語学が好きな上に、地元の人と接触し親しくなるためにロマンシュ語を身につけたい、という動機から勉強し始めたという。

中学校ではラテン語を勉強し、高校はチューリッヒにあるイタリア学校に通い、イタリア語とドイツ語のバイリンガルで勉強してきた。「言語を勉強すれば、文化を学ぶことができる」とRüeggさんは言う。こうして、大学では日本語を学ぶかたわら、ロマンシュ語の講座も受講し、ロマンシュ語についての学問的な知見を深めてきた。

Rüeggさんの話では、「ロマンシュ語は、統語法上スイスドイツ語によく似ていて、語彙はイタリア語やラテン語に似ているので、この二つの言葉を知っていると理解しやすい」そうだ。高校、大学で学んできたことが、『スイス「ロマンシュ語」入門』の執筆参加に自然に結びついていったといえる。

是非、本書を手にとって読んでいただきたいが、ロマンシュ語のニュースなどを聞いてみたい人にはRTR(ロマンシュ語放送局)がある。

http://www.rtr.ch/home

チューリッヒ大学ロマンス語研究科レト・ロマンシュ語学科
http://www.rose.uzh.ch/studium/faecher/raetorom.html