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オーケストラ・モデル 多様な個性から組織の調和を創るマネジメント

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    『オーケストラ・モデル 多様な個性から組織の調和を創るマネジメント』
    クリスティアン・ガンシュ【著】
    シドラ 房子【訳】
    阪急コミュニケーションズ
    ISBN978-4-484-14106-0
    定価:本体1700円+税

    面白いタイトルの翻訳本がシドラ房子さんから送られてきた。

    『グリエツィ』では既にお馴染みの翻訳家シドラ房子さん。

    よくこなれ、読み易い訳文で定評がある。多岐にわたるジャンルを日本語に翻訳しているが、今回の本もオーケストラとビジネスの世界を結びつけて考えるユニークな内容だ。

    超一流のヴァイオリニストで指揮者としても豊富な経験をもつ著者は音楽家・指揮者から音楽プロデューサーというビジネスの世界に転身し、大成功を収める。

    現在は、その経験をもとに経営コンサルタントとして活動している。

    そこでは、オーケストラのコミュニケーションの方法を企業構造に生かすことを提唱し注目されている。

    ここで紹介する翻訳本はその第一弾で、さらに2冊が引き続き出版されている。

    一見、無関係と思われるオーケストラと企業体が、実は非常に近い関係にあり、オーケストラのコミュニケーションの方法や人の関わりがビジネスの世界にも応用できるという発想は非常に面白い。

    個人的には、オーケストラの現場での指揮者と各パートの音楽家、音楽家同士の駆け引きなど、リハーサルから本番に到る過程で起こる様々のアクシデント、軋轢、エピソードなどを垣間見ることができ、音楽好きとして大いに楽しんだ。

    オリジナル・タイトル
    「Vom Solo zur Sinfonie Was Unternehmen von Orchestern lernen können」
    Christian Gansch
    Eichhorn Verlag, 2006
    grueezi * 本の紹介 * 04:38 * - * - * -

    女・東大卒、異国で失業、50代半ばから生き直し

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      『女・東大卒、異国で失業、50代半ばから生き直し』
      著者:栗崎 由子
      発行所:パド・ウィメンズ・オフィス
      定価:本体2500円+税

      「失業が、自分のことになるなんて、夢にも思わなかった。
      第一、そんなことが、外国で一人暮らしの私にできるとは思わなかった。
      2008年1月、私は失業した。当時、53歳」

      今回紹介する『女・東大卒、異国で失業、50第半ばから生き直し』の「序章」冒頭の一文だ。衝撃的な始まりの本書、ジュネーヴ在住の栗崎由子さんが、2008年1月、勤めてい多国籍企業でリストラに会う。

      2008年1月最後の月曜日の朝、当時の会社の上司から、「あなたのポストを削ることにした。ついては、今日午後以降、会社に来なくてよろしい」と告げられたという。

      スイス人と結婚していたり、スイスの永住権(Permit C)を所持していれば、失業後も失業手当を受け取る権利があり、スイス滞在の権利も消えない。しかし、そうした後ろ楯がないと、職を失うことイコール滞在資格を失うことにつながる。

      もっとも豊かな国のひとつであるスイスで働く外国人労働者が直面する冷酷な現実だ。

      栗崎さんは、かつてその不安があったが、1994年から10年以上滞在して永住権を取得できた。そのおかげで、2008年にリストラされて以降、ほぼ2年間失業手当のを受給できた。とはいえ、失業手当受給には、求職活動をしていることを証明し、毎月職業紹介所(RAV/ORP/URC、日本のハローワークのスイス版)に出頭してチェックを受ける必要がある。

      栗崎さんの場合、必死の努力にも関わらず、残念ながら失業保険受給中に新しい定職が見つからず、2010年1月元旦から「タケノコ生活」に突入してしまう。

      「タケノコ生活」について筆者の説明を聞こう。

      「もともとの意味は『たけのこの皮を一枚ずつ剥ぐように、身の回りの衣類・家財などを少しずつ売って食いつないでいく生活』を指す。転じて、収入がとても低く、日々貯金を崩す筆者(栗崎さん)の生活を指す意味に使っている」

      完全無収入状態に陥った2010年1月から栗崎さんはブログを書き始める。

      そして、正規の100 %の仕事をゲットする2011年9月まで体験を綴り続けた。本書はそのブログが土台となっている。失業状態の中で労働感が変わっていくこと、周りの人からの多くのアドバイスを通じて、生きることの意味を深めていく道筋が読み取れ、同じような困難に直面する人にとって、とても参考になる。

      そして、最後に辿り着いた結論は、「年齢が50歳を過ぎいようと、生き直しはできる。

      人生はいつも、『今』から始められる。
      行動を続けること。
      人生は、そこからきっと拓ける」ということだ。

      栗崎さんの語る内容は、非常に深刻で絶望的なことが多いのに、読み手の側はその絶望感を感じない。

      それは、きっと栗崎さん自身が、約3年9カ月という「冬の時代」に決して希望を失わず、常に前向きに学び、自分自身を成長させる姿勢を貫いていたためだろう。
       
      栗崎さんの手元に本書が若干部あります。

      スイス国内郵送料込み、著者割引き価格30.- CHFで購入できます。
      ご希望の方は、栗崎さんにご注文下さい。

      E-mail : yoshiko@geneva-kurisaki.net

      栗崎由子さんのウェブサイト jp.geneva-kurisaki.net/
      「EUROPE-JAPAN DYNAMICS Business Success with Japan」には、栗崎さんの発信する情報が満載です。
      grueezi * 本の紹介 * 04:35 * - * - * -

      世界の現場で僕たちが学んだ「仕事の基本」

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        キンドル版(電子書籍)です。

        『世界の現場で僕たちが学んだ「仕事の基本」』
        長嶺義宣・外山聖子【編】
        国際機関で働く若手実務家17人【著】
        阪急コミュニケーションズ
        ISBN978-4-484-14217-3
        定価:本体1500円+税

        一冊の本が読者から届いた。今夏に出版された本で、国際機関やNGOでキャリアを積む30代〜40代の17人が登場する。

        編集をしているのは長嶺義宣さんと外山聖子さん。長嶺義宣さんはスイスと縁が深い人。

        バーゼルで青少年期を送りバーゼル日本語学校の卒業生でもある。

        その後、ジュネーヴ高等国際問題研究所修士課程を修了し、赤十字国際委員会(ICRC)の仕事をしてきた。

        そして、ICRC駐日事務所の設立に尽力し2012年6月まで初代所長を務めてきた。ダボス会議のヤング・グローバル・リーダーにも選出されている。

        長嶺義宣さんたち国際機関やNGOで精力的に働く17人は、「ほとんどがごく普通の一般家庭で生まれ育ったいわゆる純ジャパニーズだ。ただ活動する舞台がたまたま海外になった人たちである」(「はじめに」p. 4)しかし、彼らは一般の人と違うところがある。本書では、世界で生き抜く力に必要とされる12項目に沿って、17人がエピソードを紹介していく。それらの証言は技術的な「スキル」ではなく、より広い「人間力」だ。

        本書が「万事に供えるハウツー本ではない」ことが「はじめに」で断られているが、これから社会に出て活動しようとする若者にとって実践的に役立つ経験や直面する問題に対して「真摯に向き合う」姿勢を学ぶことができるに好著である。
        grueezi * 本の紹介 * 04:30 * - * - * -

        伊藤八千代 Yatchi Peintre et graphiste, entre Japon et Helvétie

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          『伊藤八千代 Yatchi Peintre et graphiste, entre Japon et Helvétie』
          Edition Notari (www.editionsnotari.ch)
          定価:45.- CHF
          E-mailで注文の場合:adadle@editionsnotari.ch (仏語、英語)

          ジュネーヴに隣接するカルージュ。サルディニア王ヴィクトリア・アメデ3世の願いでピエモンテの建築家の手で造られた街並みはイタリアを感じさせ、街中には芸術が溢れている。日本人アーティスト伊藤八千代さん(愛称ヤッチ)の個展がカルージュ美術館で開催されている。

          日本でグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍し、スイスに来てからは絵画を手掛けてきた。

          日本人芸術家協会の会長を15年務め、数多くの展覧会を企画してきたことなどの功績が認められ、スイス日本国交樹立150年の年にふさわしいアーティストとして、カルージュ市が個展を企画・実現したもの。

          この個展にあわせて、伊藤八千代さんの芸術活動をまとめたカタログが出版され、カルージュ市長、カルージュ美術館館長が挨拶を寄せている。

          そして、Yatchiさんの業績が絵画、グラフィックデザインやイラストレーター、テキスタイル・デザインの作品の純にカラーで紹介されている。

          展示会場で販売されているが、E-mail(adadle@editionsnotari.ch)でも注文できる。
          grueezi * 本の紹介 * 04:25 * - * - * -

          再生可能へ! ドイツの市民エネルギー企業

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            評価:
            村上 敦,池田 憲昭,滝川 薫
            学芸出版社
            ¥ 2,376
            (2014-06-10)

            『再生可能へ! ドイツの市民エネルギー企業』
            著者:村上 敦、池田 憲昭、滝川 薫
            学芸出版社 
            ISBN978-4-7615-2573-6
            定価:本体2200円+税

            『グリエツィ』第65号(2014年春号)でドイツのエネルギーヴェンデをテーマにした翻訳本『メルケル首相への手紙 ドイツのエネルギー大転換を成功させよう』(マティアス・ヴァレンバッハー 著、滝川薫・村上敦 訳、いしずえ出版、ISBN978-4-86131-038-6)を紹介した。半年も経たない内に、ベルン州在住の環境ジャーナリスト滝川薫さんから新しい本が届いた。

            2012年に出版された彼らの前著『100 %再生可能へ!欧州のエネルギー自立地域』(学芸出版社、ISBN978-4-7615-2530-9、『グリエツィ』第57号2012年春号p. 1を参照)では、パイオニアである地域のエネルギー自立への取り組みの姿が紹介されていた。

            今回は、ドイツで、そうした地域での取り組みを経済活動として具体的に担っている事業体に焦点を当てた内容となっている。市民株式会社、市民エネルギー組合、自治体エネルギー公社などで、本書ではそれぞれの法人形態とその特徴や意味、背景を、代表的な事例を通して解説している。

            さらに、各事業体が現在の市場や政策という枠組の中で、どのようなビジネスモデルを展開しているのかにまで踏み込んで紹介しているのが特徴だ。

            滝川さんたちは、ヨーロッパ、特に最先端のドイツでのエネルギーヴェンデをテーマに日本で定期的に講演会・研修会を開催しているが、日本で再生可能エネルギー事業に取り組んでいたり、これから取り組もうとしている地域の中小企業の方々が参加する。

            その中で、もっと具体的で実践的・実務的な情報を提供して欲しいという要望が強いに違いない。それはとりもなおさず、再生可能エネルギーへの転換の道が具体的に動き始めている証左だ。

            本書「はじめに」でも、村上敦さんはこう述べている。「(再生可能エネルギーのテーマが、)一部の方にしか関心を持ってもらえなかった10年前の社会状況と現在では、時代が確実に移り変わっていることを感じ、うれしく思っている」

            そして、滝川薫さんも、「安倍政権の原発再稼動政策が強引に推し進められている一方で、地方から少しずつ変わろうとする人々のエネルギーに希望を感じる」と語っている。

            本書が再生可能エネルギー転換に取り組む人々に勇気を与え、まだあまり関心を向けていない人たちへの啓蒙書となることを願って止まない。
            grueezi * 本の紹介 * 04:19 * - * - * -

            スイス「ロマンシュ語」入門

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              評価:
              河崎 靖,熊坂 亮,ヨナス ルエグ,坂口 友弥
              大学書林
              ¥ 3,240
              (2014-01)

              『スイス「ロマンシュ語」入門』
              河崎靖・坂口友弥・熊坂亮・Jonas Rüegg 共著
              東京 大学書林 発行
              ISBN978-4-475-01897-5
              定価(本体3,000円+税)

              今日、スイスではドイツ語、フランス語、イタリア語そしてロマンシュ語が公用語である。ロマンシュ語はスイス人口のわずかに0.5 %(2000年現在)が使用する言語であるが、1938年に国民投票によって国語として承認された。

              ただ、ロマンシュ語が公用語として認められるのは、ずっと後になってのことで1996年の国会での承認を待たなければならなかった。

              少数言語のロマンシュ語とは、いったいどんな言語なのか。昨年末に、『スイス「ロマンシュ語」入門』が出版された。従来、ロマンシュ語に触れる論文は少数ながらあったものの、日本語でロマンシュ語の入門書として出版されるのはこれが初めてのことだという。これを機会に、ロマンシュ語を紐解いてみてはどうだろうか。

              日本人研究者3人に混ざってスイス人の若手研究者Jonas Rüeggさんが共著者として名前を連ねている。そのRüeggさんに会って話を聞いてみた。現在チューリッヒ大学修士課程に在籍し、歴史学(主専攻)と東洋美術史(副専攻)を専攻しているが、学部生の時、日本学を主専攻し1年間同志社大学に留学。

              その後、在日本スイス大使館で半年間、研修を積んできた。この日本留学中に、『スイス「ロマンシュ語」入門』の執筆に参加することになり、ロマンシュ語圏の文化史を紹介する「第1章 ロマンシュ語とは 第1節 言語文化誌」の執筆を主に担当した。

              どうしてRüeggさんがロマンシュ語入門書の執筆に参加することになったかを聞いてみて、大変面白いことが分かった。Rüeggさんはチューリッヒ出身で、両親と休暇でよくDisentisに行っていたそうだ。グラウビュンデン州のスルシルヴァ谷ではロマンシュ語のひとつスルシルヴァ方言が使われている。言語学が好きな上に、地元の人と接触し親しくなるためにロマンシュ語を身につけたい、という動機から勉強し始めたという。

              中学校ではラテン語を勉強し、高校はチューリッヒにあるイタリア学校に通い、イタリア語とドイツ語のバイリンガルで勉強してきた。「言語を勉強すれば、文化を学ぶことができる」とRüeggさんは言う。こうして、大学では日本語を学ぶかたわら、ロマンシュ語の講座も受講し、ロマンシュ語についての学問的な知見を深めてきた。

              Rüeggさんの話では、「ロマンシュ語は、統語法上スイスドイツ語によく似ていて、語彙はイタリア語やラテン語に似ているので、この二つの言葉を知っていると理解しやすい」そうだ。高校、大学で学んできたことが、『スイス「ロマンシュ語」入門』の執筆参加に自然に結びついていったといえる。

              是非、本書を手にとって読んでいただきたいが、ロマンシュ語のニュースなどを聞いてみたい人にはRTR(ロマンシュ語放送局)がある。

              http://www.rtr.ch/home

              チューリッヒ大学ロマンス語研究科レト・ロマンシュ語学科
              http://www.rose.uzh.ch/studium/faecher/raetorom.html
              grueezi * 本の紹介 * 04:11 * - * - * -

              メルケル首相への手紙 ドイツのエネルギー大転換を成功させよ!

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                『メルケル首相への手紙 ドイツのエネルギー大転換を成功させよ!』

                マティアス・ヴィレンバッハー/著
                滝川 薫・村上 敦/訳
                いしずえ 出版(www.ishizue-books.co.jp/)
                定価: 1,800円+税
                ISBN 978-4-86131-038-6

                スイスから、環境問題に焦点を当てて取材し、再生可能エネルギーの発展やエネルギー大転換(エネルギーヴェンデ)などの取り組みを紹介している環境ジャーナリストの滝川薫さんが、ドイツ在住の環境ジャーナリスト村上敦さんと一緒に、今年初めに新刊翻訳書を上梓した。滝川さん自身が、熱を込めての紹介文を添えてくれたので、その紹介文をそのまま紹介しよう。

                ******************

                過去10年間で電力に占める再生可能エネルギーの割合を25 %に増やしたドイツ。こういった勢いのよいエネルギー大転換(エネルギーヴェンデ)の主役は、農家や手工業者、中小企業や自治体です。しかし、このようにエネルギー供給の民主化が進む中、メルケル政権はこの数年間にわたり、エネルギー大手企業の既得権を守るために分散型のエネルギーヴェンデを阻止する方向に政策の舵を切ってきました。

                そしてエネルギー大手企業の影響下にあるドイツの大手メディアでも再生可能エネルギーの阻止を促す情報キャンペーンが繰り広げられてきました。日本でも、ドイツでのこういったキャンペーンの極度に偏った情報、あるいは間違った情報を鵜呑みにした報道は少なくありません。

                著者マティアス・ヴェレンバッハーは、ドイツ随一の再生可能エネルギー開発会社juwiの設立者で、社会企業家です。上記のような状況の下で、ヴィレンバッハーは本書の中で、メルケル首相に大胆な提案を行います。

                それは、もしもメルケル首相が迅速なエネルギーヴェンデに必要な枠組となる条件を整えるならば、著者の持つ自主持ち株をすべて、ドイツのエネルギー協同組合たちにプレゼントする、というものです。

                ドイツでは、ベストセラーとなった本書の中で、著者は、エネルギーヴェンデの実践の中で得た波瀾万丈の体験を生き生きと語っています。そして、一極集中型のエネルギー産業がどのようにして再生可能エネルギーを阻止しようとしているのかを描き出し、ドイツ社会で流布されている再生可能エネルギーに関する多くのウソを暴きます。どうすればドイツが100 %再生可能エネルギーを最も安いコストで素早く達成できるのか、なぜそれがドイツの社会にとって社会的に、そして国民経済的に最良なのかといったことを、分かりやすく説明しています。

                その際に、著者の実践者ならではの説得力のある知見が新鮮です。例えば分散型のエネルギーヴェンデのためには、国を縦断してスーパーグリッド(超高圧送電線)も、洋上風力も、巨大な蓄電容量も不必要で、それらがエネルギーヴェンデを高価にするだけのもの(=阻止する要素)である理由を論説します。

                今すぐにも風力と太陽光発電の設備稼働率を倍増できる技術的な手法も必見です。訳者として、この本が日本のエネルギーヴェンデに関する今の議論に貴重な情報を与えてくれる一冊、また日本のエネルギー生産市民たちに勇気を与えてくれる一冊となってくれることを祈っています!!

                *****************

                ここスイスでも、原発に依存しないで、再生可能エネルギーへの大転換は焦眉の課題で、その点でも、この分野での先進的な活動をすすめるドイツ、とりわけも先進的なエネルギーヴェンデのための活動をするマティアス・ヴァレンバッハー氏の本は、私たちに汲めども尽きない勇気と可能性を示してくれます。

                幸い、スイス在住のみなさんのために滝川薫さんが直接注文受け付けてくれます。

                郵送費込み(B-Post)25.-CHFです。
                ご希望の方は、下記メールアドレス宛てご注文下さい。
                kaori.takigawa@gmx.ch

                なお、滝川薫さんは、スイスから環境問題をテーマにしたブログ「滝川薫の未来日記」を発信しています。
                併せてご覧下さい。
                blog.goo.ne.jp/swisseco
                grueezi * 本の紹介 * 01:40 * - * - * -

                ハインリッヒ・ハンゼルマンにおける治療教育思想の研究 - スイス障害児教育の巨星の生涯とその思想

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                  1930年代から50年代に掛けて、ドイツ語圏の治療教育(Heilpaedagogik)の理論と実践を主導したのは、スイス・チューリッヒ学派の創始者 H. ハンゼルマン(1885〜1960年)とその後継者 P. モアであった。

                  とくにハンゼルマンは、スイスに留まらず、ヨーロッパの障害児教育の実践・研究に多大な影響を与えてきた。

                  しかし、日本ではハンゼルマンの人物像や治療教育思想の形成過程やその特徴などについて詳細な研究がほとんどなされてこなかった。

                  冨永光昭大阪教育大学教授は、2010年、ハンゼルマンの治療教育思想を研究テーマにした学位論文を仕上げ、大阪市立大学で学位(文学博士)を取得した。

                  本書は、その学位論文の内容に加筆修正を加え、さらに補章「スイスの治療教育(学)の現状と課題」を追加して出版された、治療教育に関する専門書である。

                  専門書とはいえ、スイスにおける障害児(者)教育、治療教育の歴史と今日の到達点や課題を理解する上で、非常に分かりやすく整理された内容で、「治療教育」の視点でスイスという国を見つめ直す絶好の書となっている。

                  ハンゼルマンは、フランクフルト近郊のシュタインミューレ労働教育コロニー・観察施設」の施設長を経験した後、Pro Juventute 財団(チューリッヒ)から招聘され、1918年から5年間、本部長として児童保護事業の改善に取り組んできた。

                  1925年には、チューリッヒ近郊のアルビスブルーンに田園教育舎を創設し、障害児(者)の自立を保護・支援する活動の中心になった。

                  こうした児童保護事業活動や教育実践を通じて、ハンゼルマンは障害児(者)のための「生涯にわたる保護」の視点を確立していく。

                  ハンゼルマンは、その後、チューリッヒ大学治療教育セミナーの設立に尽力し、治療教育を学として確立し、治療教育教員養成に力を注いでいく。

                  これは、ジュネーヴのルソー研究所、フリブール大学治療教育研究所と並び、今日でもスイスでもっとも重要な治療教育機関のひとつとなっている。

                  ハンゼルマンは、「正常 ─ 異常」の人間の分類手段について、障害児に対する否定的価値を含む「異常」概念を明確に否定し、それに代わるものとして「発達抑制(Entwichlungs- hemmung)概念を提唱した。

                  さらに、1930年代、ヨーロッパの広範囲で障害児(者)の施設隔離・断種などの議論が展開され、とりわけ、ドイツではナチズムの台頭により、断種に留まらず、障害者に対しても大量抹殺処理が行われるという深刻な事態の中で、ハンゼルマンはこうした思潮に抗い、あくまで困難を抱える者に対する理解を深め、援助の手を差し伸べる立場を貫き、それが「スイス的なるもの」である、という信念を貫ぬき通した。

                  1939年には、自閉症研究で知られるアスペルガーとともに、国際治療教育学会第1回会議を主宰し、戦後には、国際的な障害児教育の復興に力を尽くしてきた。

                  本書では、ハンゼルマンの人物像や治療教育思想の形成過程と特色を丁寧に研究し、深めながら、一般者でも分かりやすく書かれた好著である。
                  grueezi * 本の紹介 * 07:20 * - * - * -

                  元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術

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                    評価:
                    レオ・マルティン
                    阪急コミュニケーションズ
                    ¥ 1,680
                    (2012-07-26)

                    ツーク近郊のCham在住の翻訳家シドラ房子さんは、ドイツ語の本を精力的に翻訳し出版している。

                    『グリエツィ』誌上でも「本の紹介」欄で、

                    『縮みゆく記憶』
                    (ランダムハウス講談社、ISBN 978-4-270-10219-0)

                    『絵画鑑定家』
                    (ランダムハウス講談社、ISBN 978-4-270-10335-7)

                    『その一言が歴史を変えた』
                    (阪急コミュニケーション、ISBN 978-4-464-10109-5)

                    『ヌードルの文化史』
                    (柏書房、ISBN 978-4-7601-3999-6)

                    の翻訳本を紹介してきた。


                    今回、著者から届いた新翻訳本は『心に入り込む技術』というタイトル。

                    一見、精神分析か心理学系の本かと思いながら、もう一度タイトルをよく見ると、一番上に「元ドイツ情報局員が明かす…」とある。

                    そして、帯には「親しみや信頼は意識的に作り出せる。

                    誰もがあなたを信じてしまう「17のミッション」&「情報マニュアル」とある。

                    本書は、ドイツの法律行政専門大学で犯罪学を専攻し、1998年から2008年までドイツ連邦情報局に勤務し、犯罪組織の解明に従事した著者が、「最短時間で見ず知らずの人の心に入り込み、信頼関係を構築する独自の技術」を披露してくれるというもの。

                    情報局員のノウハウが日常の一般社会生活にも通じるものとして紹介されていて面白い。

                    読みながら、なるほど、こういう「技術」を使っていけば、親しみや信頼を得ることができるのだろうな…と思いながら、実は、それが簡単にできないからノウハウが分かっても、なかなかできないのが現実だろうと、もうひとりの自分が語っていることに気が付いた。

                    ドイツでは、『シュピーゲル』誌のベルトセラーにランクされるほど、よく売れているという。

                    現代社会に生きる人々が人間関係に深く苦しみ、悩み、模索していることの反映なのだろうか。

                    原書のタイトルは、
                    『Ich krieg Dich ! Menschen fuer sich gewinnen ? Ein Ex-Agent verraet die besten Strategien』2011年
                    (Vrelag Ariston、ISBN 978-3-424-20050-8)
                    grueezi * 本の紹介 * 07:12 * - * - * -

                    でんしゃがおうち レイルちゃん

                    0
                      ヨーロッパを走る列車の一等車に住んでいる女の子、レイルちゃん。
                      9歳。生まれはチューリッヒ市。

                      お母さんは、ヨーロッパ鉄道の運転手さん。

                      言語学者だったお父さんは、3年前に山で遭難してしまった。

                      それ以来、レイルちゃんは、列車に住んでいる。

                      じぶんのにもつをワニの形をしたスーツケースに入れ、それをごろごろころがしながら、東はポーランド、ルーマニア、西はフランス、アイルランド、南はギリシャ、イタリア、ポルトガル、北はノルウェー、フィンランド……。

                      その日の気の向くままに、行きたい街へ、乗りたい列車へと、ひとりで旅をしています」。

                      学校へは通っていない。

                      本書は2000年1月から3月に掛けて、毎日小学生新聞に連載された少年少女向け創作小説に大幅に加筆してできあがったもので、2009年に理論社から出版された。

                      このアイデアが浮かんだときに、著者の大谷さんは、「スイスで書きたい!」と思い、それが叶ったもの。

                      レイルちゃんの他に、ピピ(スーパーエクスプレス博士)、ピピのお母さんで大怪盗のシンシン、恐怖の青い眼帯男ガジゴジ、ふたごの変装アドバイザーなど、不思議で楽しいキャラクターが登場する。

                      少年少女読者は、いつの間にか、レイルちゃんとピピと一緒に、スリリングな列車の旅に誘われていく…。
                      grueezi * 本の紹介 * 07:04 * - * - * -
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